猫飼ってみました 12


二日連続でバカップルの愚痴に付き合うことになった。
葉山は昨日のギイほど酔うことはなく、けれどぶつぶつと文句を言い続けた。
「だいたいギイはうちのぎいに厳しいんだよ。タクミのこと襲っただなんて被害妄想もいいとこだよ!」
「まぁなぁ」
「そりゃいきなり飛び乗られてタクミはびっくりしたと思うけど、別に意地悪するつもりじゃなかったんだし」
「そうだろな」
「それなのに殺意があったなんて言うんだよ?」
物騒な台詞に思わずぷっと吹き出してしまった。それは確かに言いすぎだ。
「葉山、そんなに腹が立つならこれを機に別れろよ」
「え?」
「そうだそうだ。そうしよう。そしたらこんなつまんないことで愚痴を言わなくてもすむぞー。今すぐ電話しろ」
僕はおもむろに携帯を葉山へと差し出した。葉山は胡乱な目でじーっと携帯を見ていたが、すぐにうーっと低く唸って「やだ」と言った。
「ギイと別れるのはやだ」
「何だそりゃ」
つまらん。僕は残り少なくなったビールを飲み干した。
「それ、ちゃんとギイに言ってやれよ」
「何で?」
「何でって、猫のぎいよりも人間のギイの方が好きだって言わないと、あいつ本気でぎいをいじめるぞ」
「猫相手に?」
「あいつの場合、猫だろうが犬だろうが、葉山が愛してるものの中で一番でいたいって男だからなぁ」
「・・・」
「愛されてるよなぁ、葉山」
「それ嫌味?」
「当然だろ」
まったく馬鹿馬鹿しい。
こんな二人に、僕はきっと死ぬまで振り回されるんだろうと思うと力が抜けた。




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あとがき

猫にライバル心を燃やすギイ。だんだん哀れに・・・