二日連続でバカップルの愚痴に付き合うことになった。 葉山は昨日のギイほど酔うことはなく、けれどぶつぶつと文句を言い続けた。 「だいたいギイはうちのぎいに厳しいんだよ。タクミのこと襲っただなんて被害妄想もいいとこだよ!」 「まぁなぁ」 「そりゃいきなり飛び乗られてタクミはびっくりしたと思うけど、別に意地悪するつもりじゃなかったんだし」 「そうだろな」 「それなのに殺意があったなんて言うんだよ?」 物騒な台詞に思わずぷっと吹き出してしまった。それは確かに言いすぎだ。 「葉山、そんなに腹が立つならこれを機に別れろよ」 「え?」 「そうだそうだ。そうしよう。そしたらこんなつまんないことで愚痴を言わなくてもすむぞー。今すぐ電話しろ」 僕はおもむろに携帯を葉山へと差し出した。葉山は胡乱な目でじーっと携帯を見ていたが、すぐにうーっと低く唸って「やだ」と言った。 「ギイと別れるのはやだ」 「何だそりゃ」 つまらん。僕は残り少なくなったビールを飲み干した。 「それ、ちゃんとギイに言ってやれよ」 「何で?」 「何でって、猫のぎいよりも人間のギイの方が好きだって言わないと、あいつ本気でぎいをいじめるぞ」 「猫相手に?」 「あいつの場合、猫だろうが犬だろうが、葉山が愛してるものの中で一番でいたいって男だからなぁ」 「・・・」 「愛されてるよなぁ、葉山」 「それ嫌味?」 「当然だろ」 まったく馬鹿馬鹿しい。 こんな二人に、僕はきっと死ぬまで振り回されるんだろうと思うと力が抜けた。 |