ギイの家で彼の愛猫のタクミとぎいが乱闘になってから、しばらく冷却期間を置いていたギイと託生だったが、かといってもちろん別れるつもりなどこれっぽっちもないので、ある夜、託生の部屋にギイがやってきた。 「・・・・久しぶり」 「・・・うん」 託生はいつもの通りギイを部屋へと通した。 中にいたぎいがじーっとギイを見つめる。 「おいで、ぎい」 託生が声をかけると、ぎいは首につけた小さな鈴をちりんと鳴らして託生のもとへとやってきた。 抱き上げて、ほら、とギイの方へぎいの顔を向ける。 「この前はごめん、て。反省してるよね、ぎい?」 にゃーとぎいは鳴いて、ギイを見上げる。 ギイは少しバツが悪そうな表情をして、手にしていた鞄から、ぎいが好きなおやつを取り出した。 袋から出すと、ぎいは喜んでもしゃもしゃとそれを食べた。 「オレも悪かったよ。お前、タクミのこと気に入ったのか?」 「にゃー」 「ったく、好きなら手順があるだろ。タクミ、すっかり怯えてたんだぞ」 言って、ギイは人差し指でぎいの頭をくるくると撫でた。 腕の中のぎい同様に、ギイのことをじーっと見つめる託生に、ギイはあーっと唸った。 「この前は悪かったよ」 「ううん、ぼくもごめん」 互いに素直に謝り、見詰め合って照れたように笑う。 ギイは身を屈めると託生にそっと口づけた。 久しぶりの甘い口づけに夢中になっていると、二人の間に挟まれたぎいが苦しそうに鳴き声を上げた。 「ああ、悪い悪い」 やってられないとばかりに、ぎいは託生の腕から飛び降りると、さっさと隣の部屋へ行ってしまった。 「託生、同棲の話だけどさ」 「同居」 「いや、同棲」 「何が違うのさ」 「同居はただ一緒に住むだけだろ。同棲は恋人同士が結婚前提に一緒に住むこと」 「結婚前提って・・・」 男同士でそれはない。と託生は思ったが、まぁあえて口には出さず、確かにそれなら同棲かと思いなおした。 「とにかく同棲な、あいつらを仲良くさせないことには始まらないから、もう一度会わせてみるかと思ってさ」 「そうだね。あの二人、ほんとは気になってると思うんだよね。時間かければ仲良くなれるんじゃないかなぁ」 「オレたちも最初は時間かかったもんな」 「よく言うよ」 あれよあれよと言う間に言い寄られて、気がついたら恋人同士になっていた。 別に不満はないけれど、時間がかかったとは思えない。 「とにかく、もう一度お見合いさせてみるかー」 「そうだね。人が見てると上手くいかないみたいだから、今度は二人だけで」 「うう、心配だ」 「だから!ぎいは襲ったりしないってば!」 「分かってるさ」 ほんとかー?と託生が自分を抱き寄せるギイの頬をむにっと摘んだ。 |