さて、二度目のお見合いである。 託生の提案で、ギイと託生は邪魔せずに、ぎいとタクミだけを同じ部屋に入れてみることにした。 託生がケージからぎいを抱き上げて、ちゅっとその額にキスをする。 「ぎい、いい子だからタクミにいきなり飛びかかったりしないでくれよ?タクミは大人しい子だから、びっくりするからね」 「にゃー」 「ほんとに分かってる?」 「んにゃー」 早く行かせろとばかりに、ぎいが託生の腕の中で暴れる。一抹の不安はあるものの、託生は薄く開いた扉から、タクミのいる部屋へとぎいを入れた。 タクミが驚いたような鳴き声を上げ、それに応じるようにぎいが鳴き声を上げる。 とりあえずいきなり飛びかかってはいないようなので、ほっとした。 「さ、あとは若い二人に任せて」 お見合いおばさんのような台詞を吐いて、ギイは心配そうに閉じた扉を眺める託生の肩を抱いてリビングへと戻った。 「今日泊まってくだろ?」 「うーん、でも明日学校早いからなぁ」 並んでキッチンに立ち、夕食の準備を二人で始める。 もちろんこの場合の夕食は自分たちのものではなく、ぎいとタクミのものである。 「お前さー、もうちょっとオレといたいって思わないわけ?」 「思うけど」 「けど、何だよ?」 「だって、ここに泊まると、ギイ、眠らせてくれないじゃないか」 首まで真っ赤にして、託生が小さく呟く。そんな託生を目にしたギイは一瞬無言になり、次の瞬間、後ろからぎゅーっと抱きしめた。 「ちょ、っと何だよ、急に」 「やっぱり帰さない。お前そういう可愛いこと言って帰れると思うなよ」 「はぁ?もうギイってば、苦しいから離してよっ」 そんな風に二人がいちゃいちゃしている間、猫の間ではぎいとタクミが微妙な距離を置いて睨みあっていた。 |