『そういえば、昨日、ギイの夢を見たよ』 受話器越しに、何でもないことのように託生が言う。 それだけで舞い上がってしまう自分もどうかと思うが、やっぱり嬉しくて、顔がにやけるのを止められない。 「どんな夢だった?」 『忘れちゃったよ』 くすくすと託生が笑う。 耳元で聞こえる優しい声に、今すぐ会いに行きたくなる。 『だけどさ、ギイ、何か幸せな夢だった』 「ふうん」 『たぶん、眠る前に、ギイと電話してたからだよね』 「・・・・・」 『ギイ?』 「オレも託生の夢、見たかった」 『は?』 同じように電話で話をしてたのに、どうして託生だけオレの夢を見るんだ? オレだって託生の夢が見たかったぞ。 「ずるい、託生」 『・・・・ギイって、ほんと子供みたいなこと平気で言うよね』 「悪かったな、子供で」 『そういうところも好きだよ』 面と向かっては好きだなんて滅多に言わないくせに、電話だとさらりと口にするんだから始末におえない。 今度会ったら、同じ台詞を目の前で言わせるためにどうすればいいか、電話をしながらも、あれこれと考え始めるのだった。 |