負けず嫌い


ゆっくりと肩先から背中へ辿る指先の気持ちよさに、うっかり声が出そうになる。
ギイに背中を向けたまま、ぼくは先ほどまでのあれやこれやの恥ずかしさで、とりあえず寝たふりをしよう思っていたのに、ギイの指が腰骨を探ったところで、びくりと身を震わせてしまった。
「何だ、起きてるんじゃないか」
喉の奥で笑われて、ぼくはいたずらなギイの手から逃れるためにベッドの端へと這う。
「なに逃げてんだよ、託生」
長い腕で絡め取られ、また引き戻される。
「だってギイ・・・」
「なに?」
「だから、恥ずかしいんだって」
「何が?あー、今夜初めて託生がしてくれた・・・」
「わー、言うなよっ!!」
そういうこと口にするのは趣味が悪いと思わないのだろうか。
ギイはぼくの腹部に両手を回して引き寄せると、うなじにキスをしてきた。
「んー、別にいいじゃん。オレ、嬉しかったけど?」
「・・・・・」
「そのうち上手になるだろうし」
「・・・っ!!だから言うなって!!」
「はは、分かった分かった。怒るなよ、ごめんな」
絶対悪いなんて思ってないに違いない。
だいたい、そのうち上手になるっていうのは、今は下手だっていうことだよね。
何だかそれはそれで面白くない。
ぼくってけっこう負けず嫌いだったのかな、なんて思ってしまう。
いや、だからといって練習してやる!ということにはならないんだけど。
「また今度もしてくれる?託生」
「・・・・考えとく」
ぼくの返事に、ギイは楽しそうに小さく笑った。




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あとがき

何が初めてだったのさ!あれですか!あれですかー!!!