8月半ば、仏壇のお飾りとお供えがすまされ、盆提灯に灯りが点った。
くるくると回り青い光のそばに座り、母親が精霊馬を飾る姿をぼんやりと眺めた。 「迎え火をしなくちゃね」 綺麗に整えられた仏前に手を合わせて、母親は何も言わないぼくを一瞥してそっと部屋を出て行った。 ぼくは部屋の片隅に膝を抱えて座ったまま、兄の写真に視線を移した。 「帰ってくるんだ」 年に一度、暑い夏の日に、兄はここに戻ってくる。 優しく笑う兄は、もう年を取ることはない。 ぼくが兄の年を追い越してもう7年になる。 ぼくは立ち上がると、階段を上がり自室へと戻った。 開け放たれた窓の外では蝉がうるさいくらいに鳴いていて、その声を聞くだけで暑さが増すような気がした。 母たちは明日、兄のお墓参りに行くと言う。 ぼくにも声をかけ、だけどはっきりと行くとは言わないぼくをそれ以上は誘うことはしない。 もう毎年の恒例のやり取りで、そこに特別何かを思うことはなかった。 6月の兄の命日にお墓参りに行くだけでも十分だと、両親は思っているのかもしれない。 墓参りだけであれば、きっとぼくはいつでも行けるのだ。 けれど、そこへ両親と一緒にとなると、どうしても気持ちが沈む。 兄の墓参りに行くことができるようになったのが高校2年の6月。 それまで一度も行くことができずにいたぼくの背中を、ギイがそっと押してくれた。 それですべてが消えてなくなるわけではなかったけれど、ずっと心の奥底で蟠っていた思いの一つは間違いなく薄くなった。 ぎこちなかった両親との関係も、少しづつ少しづつ変わっていった。 何もなかったことにはできなくても、過去に囚われることなく前へ進もうと思えるようになれた。 それはすべてギイのおかげだ。 ギイがぼくのことを大切にしてくれたから、ぼくは自分のことを大切にしようと思うことができた。 嫌悪症だった頃からは考えられないくらいに、明日を楽しみに待つことができるようなった。 (兄さんは、明日を楽しみに待つことはあったのかな) 身体が弱くて、無理はしてはいけないといつも言われていた。 友達はたくさんいたけれど、あまり外で遊ぶことはできなかった。 本当にやりたいことはできず、そのくせ期待だけは大きくて、今思えば息苦しさを感じてもおかしくはなかったなと思う。 ぼくが外へ遊びに行く姿を、いつもどこか寂しそうに見送っていた。 目一杯遊んで帰ってくると、兄さんは何をして遊んだのかを飽きることなく聞いてくれた。 (そういえば、外で一緒に遊ぶなんてことなかったな) 一緒に遊べたらきっと楽しかっただろうなと思う。 もっともっと普通の、どこにでもいる兄弟と同じようなこと、兄さんとしたかったなと思う。 ぼんやりとそんなことを思っていると、机の上に置きっぱなしにしていた携帯が小さく音を立てた。 手を伸ばして表示された名前を目にすると、自然と笑みが零れた。 「もしもし?」 『託生?』 聞こえてきた優しい声に、ぼくはほっとする。 ギイは今アメリカだ。 祠堂にいた頃と同じように、会えない日が続くと、ギイは毎日ぼくに国際電話をかけてくれる。 特に実家に戻っている時は暇を見つけてはメールまでしてくれる。 相変わらず心配性で笑ってしまう。 ぼくはもう傷つきやすい子供ではないというのに。 『託生、何してた?』 「ぼーっとしてた。暑くてさ。蝉の声聞こえる?」 じーじーと言うよりは、わんわんと響くような蝉の声は、アメリカまで届いているだろうか。 しばらく黙っていたギイは、くすっと笑った。 『聞こえる。暑そうだな。夏バテしてないか?』 「大丈夫だよ。ギイこそ、仕事忙しいんだろ?」 『こっちは相変わらずだな。でもまぁ忙しいのにはもう慣れてるからさ、どうってことはない』 「そっか。無理しないでね」 滅多に風邪も引かないし、身体は丈夫だということは嫌と言うくらい分かっているけれど、だからこそ無意識のうちに無茶もするので心配なのだ。 『託生、ご両親に話したか?』 「ん・・・まだ。今夜話そうかと思ってるんだけど」 『そっか。なぁ本当にオレ、そっちに行かなくてもいいか?』 「一人で大丈夫だよ。もう子供じゃないんだから」 『子供だなんて思ってないよ。だから心配なんだ』 うん、とぼくはうなづいた。 だけど、ギイが心配するような必要はないのだ。 だって、ぼくの気持ちはもう決まっていて、両親に何を言われたところでそれが変わることはない。 「ギイ、また電話するよ」 『ああ』 「心配しなくていいから」 『わかった。じゃあな』 だけどラインが切れる気配はない。 ギイはぼくが切るまでラインを繋いだままだ。それは昔からの彼の癖で、だからいつもぼくが先に切るのだけれど、それはそれでちょっと寂しい気持ちがするのも事実だった。 手の中の携帯を握り締めて、ぼくは一つ息をついた。 ギイと付き合い始めてもう10年。 もう10年かぁとしみじみ思ったり、まだ10年かと思ったり。 「まだ10年かな。この先のこと考えるとね」 うん、とぼくはうなづいて、もう一度自分の中で決意を強めた。 その夜、夕食が終わり、片付け物が終わると、母はスイカを切ってテーブルに並べた。 「すごく甘いわよ」 「ほんと?いただきます」 思い切ってかぶりつくと、じゅわっと甘い汁が口の中に広がった。 「美味しい」 「でしょ」 嬉しそうに笑う母に、ぼくはあのさ、と話しかけた。 「ちょっと、話があるんだ」 「何?」 「明日、一緒に兄さんのお墓参りに行くよ」 「え?」 母ははっとしたように顔を上げ、リビングのソファに座っていた父も驚いたようにこちらを振り返った。 しばらくじっとぼくの顔を見つめていた母は、やがて目を潤ませた。 「・・・・そう・・・一緒に行ってくれるの?」 「うん」 「ありがとう、託生」 ううん、とぼくは首を横に振った。 まさかぼくがそんなことを言い出すだなんて、きっと二人とも思っていなかったのだろう。 ほっとしたように父も笑い、ぼくは少し気恥ずかしくなってしまった。 「あと、もう一つ話があるんだ」 「どうしたの?」 「アメリカに・・・行こうと思ってるんだ」 「え?」 さすがにこれには二人とも驚いたようで、言葉を失った。 今までそんなことを口にしたことなどなかったのだから、それは当然の反応だろう。 どこから説明をしようかと思っていると、母の方が先に口を開いた。 「託生、アメリカって・・・旅行とかじゃなくて?お仕事で?」 「うん・・・向こうで仕事もしたいと思ってる」 「仕事も・・・って」 どういう意味?というように母が首を傾げる。 ぼくは一つ深呼吸をすると、真っ直ぐに顔を上げて母を見た。 「アメリカで暮らそうと思ってる」 「暮らす・・って・・・」 言葉も出ないほどに驚く母に、ぼくはうんとうなづいた。 ギイからアメリカで一緒に暮らさないかと言われたのは先月のことだった。 ギイはアメリカで仕事をしていて、ぼくは日本で仕事をしている。 毎日電話やメールをして、休暇の時はどちらかが・・といってももっぱらギイが会いにきてくれた。 そういう生活にももう慣れてしまって不満があるわけではないけれど、やっぱり寂しいと思うこともあって、かといって現状を簡単に変えることもできずに、ずるずると遠距離恋愛を続けていた。 そんな現状を変えたいと言ったのはギイだった。 離れて暮らすのはもう嫌だと突然言われて驚いたけれど、ぼくの中に行かないという選択肢は最初からなくて、迷うことはなかった。 あまりにあっさりと承諾したものだから、ギイはもっと早く言えばよかったとぶつぶつ言っていた。 とは言うものの、すぐにアメリカへ行けるはずもない。仕事のこともあるし、いろいろと身辺整理もしなくちゃいけない。 何より、とっくの昔に独立したとはいえ、日本を離れることを両親に黙っていけるはずもないので、まずはきちんと報告だけはしておかないと思ったのだ。 すでにギイとのことは両親は知っていて、一時期は冷戦状態のようにもなったけれど、今では暗黙の了解となっているようなところもある。 ギイとのことを喜んではいないけれど、表立ってぼくを責めることもしない。 ぼくが初めてはっきりと意思表示をしたせいもあるのだろう。 それまでどこか遠慮がちに、なるべく波風立てないようにしてきたぼくが、ギイとのことだけは何を言われても譲ることがなかったのだから、さぞかし両親は驚いたことだろう。 兄とのことがあって、そのせいでぼくが同性しか愛せなくなったのかと問われたけれど、決してそんなことはなくて、正直なところギイ以外の同性に惹かれることなんて皆無だったし、むしろ冗談じゃないという感じなのだ。じゃあどうしてと言われると自分でも説明なんてできない。 ぼくはギイを好きになった。 ただそれだけのことで、兄とはまったく関係のないことなのだ。 「・・・崎さんと暮らすの?」 「うん」 「そう・・もう決めたのね?」 「うん。年末にはあっちに行こうと思ってる」 アメリカへ行けばしばらく日本に戻ってくることもできないだろう。 だから、最後に兄さんのお墓参りにも行こうと思った。 心残りだったことはすべてしておきたいとも思ったし、両親と一緒に行くことが、ぼくにできる最大の親孝行なのかもしれないと思ったからだ。 すべてが綺麗に昇華されたわけじゃない。 たぶん死ぬまでずっと、ぼくの中からあの辛くて悲しい出来事がなくなることはないだろう。 兄と両親を恨む気持ちがあったことも、お互いが最大限の努力をして今の関係を保っていることも、すべてをきちんと整理することはできないけれど、いつまでも過去に囚われて立ち止まっていたくはない。 ぼくはギイと、これからの人生を歩いて行こうと決めた。 彼と二人で幸せになりたいと思ったのだ。 ギイと暮らすことについて、たとえ両親にどう思われても構わなかったし、こうして打ち明けることで、また傷つけあうことになったとしても、それでもいいと思ったのだ。 アメリカに行くことへの両親の反応を窺っていたぼくに、 「いつか、そうなるんじゃないかとは思ってたわ。託生が決めたのなら反対もできないものね」 母はうつむき加減にそう言うと、諦めたように小さく笑った。 もっと反対されるんじゃないかと思っていたので、ぼくは拍子抜けしたような気になってしまった。 いや、こんな反応が返ってくるかもしれないと、どこかで思っていた部分もある。 小さい頃からずっと両親はぼくに無関心だった。 兄とのことが明るみに出て、ぼくに非がなかったことが分かり、両親はようやくぼくに向き合うようになった。 けれどそれからも、ぼくがすることに対して両親が何かを言うことはなかった。 それは小さい頃からと何も変わらなかった。 唯一、ギイとのことが知れたときは、動揺を隠せず問い詰められたりもしたけれど、それもギイが兄を彷彿とさせたからだったと思う。 結局、両親は兄が絡むことでなければ、心を動かされることはないのだ。 だから今回、ぼくがアメリカへ行くと言っても、引き止められることはないんじゃないかと思っていた。 思った通りの反応が返ってきて、心のどこかがすっと冷えるような、そんな気持ちになっていた。 やっぱりという思いが胸の奥を痛くさせ、まだどこかで期待している自分がいることに馬鹿馬鹿しく思ったりもする。 「ところで託生、英語は大丈夫なの?」 「・・・どうかな。まぁ行ってしまえば何とかなるかな、とか」 「そんなことで大丈夫なの?仕事もするんでしょ?今からでも遅くないから英会話教室へ行ったら?」 淡々とアメリカでの生活の心配をする母に、ぼくは苦笑する。 「託生がアメリカで落ち着いたら、観光がてら遊びに行きましょうか、お父さん」 「そうだな」 「寂しくなるわね、託生がいなくなると」 ぽつりと漏らした一言に、ぼくは言葉を失くした。 それは他人行儀な上辺の言葉ではなく、本当に心から思っている言葉に聞こえたからだ。 すでに実家を離れて、会うのは年に数回だというのに、今さら寂しいだなんて。 ぼくがあまりに呆然とした顔をしていたのか、母が首を傾げた。 「どうしたの?」 「え、だって・・寂しいなんて言うから」 「当たり前じゃないの。寂しくないとでも思ったの?」 「反対しないから、ぼくがどこへ行こうが、たいして気にしないのかなって・・」 「託生・・・」 今度は母の方が呆然とした表情でぼくを見返した。 「馬鹿ね、そんなことあるわけないじゃない。今だってほとんど実家に顔を出さないし、そりゃあ同じじゃないかって言われればそうかもしれないけど、日本にいるのとアメリカじゃあ全然違うでしょ」 「うん」 「それに、反対したって、託生はもう決めたんでしょ?」 「・・・うん」 「できれば日本にいてほしいとは思うけど、そんなこと言えないでしょ」 「どうして?」 問い返すと、母は困ったように目を伏せた。 「・・・いろいろあったから、託生がしたいってことを反対すうようなことはしないでおこうって。何があっても、託生のことを信用することに決めたからよ」 ぼくは混乱してしまった。 今まで、ぼくが決めたことに対して両親が文句を言ったり反対したりすることはなかった。 ギイとのことだって、最後には黙認したくらいだから、やっぱりぼくのことに関心はないんだと思っていた。 だけどそうじゃなかった? 何も言わない理由は無関心からじゃなかった? 「お母さん、ぼくは・・・どうでもいいのかと思ってたよ」 「え?」 「ぼくが何しようと、お母さんたちは別にどうでもいいのかなって、そう思ってた」 「どうでもいいなんて思うはずないでしょ」 ぼくが言うと、母は呆れたように少し強い口調で言った。 「ただ、口出しすることなんて、もう私たちにはできないって思ってたのよ。そんなことしたら、託生は何を今さらって思うんじゃないかって思ったし・・」 ああ、そういうことか、とぼくはようやく気づいた。 兄さんのことで、ぼくに負い目があったから。 ぼくを傷つけたことへの罪悪感があるから、本音を口にすることはできなかったのか。 無関心だからではなかった。 そういうことじゃなかったんだ。 ぜんぜん気づいていなかった。 両親が何を考えているかなんて。 両親はぼくに遠慮をして、ぼくは両親と争わずにすむように距離を置こうとして。 どちらもが本心を見せることができないままここまできてしまった。 もっと本音を曝け出せばよかったのだろうか。 曝け出せばお互いのことを、もっと分かり合えたかもしれないとも思う。 だけど、それはもっと昔、兄さんとのことが明るみに出た時にするべきことだったのだ。 ぼくはその機会を自分から放棄した。そうして自分を守ろうとした。間違っていたとは思わない。 あの時のぼくにはそれが必要だったのだ。 だけど、ちゃんと本音を伝え合えば、そのことでもっと気まずい思いをしたとしても、今とは違う関係が築けたのかもしれない。 だけど、何でも言えばいいものじゃないと思うから。 都合のいい逃げだと言われたとしても、ぼくたちはそうすることで微妙なバランスを保ってきた。 それでいいと思ってた。 だけど、もっと違う方法があったのかもしれない。 ぼくはいろんなことがぐるぐると頭を巡って、しどろもどろになってしまった。 「お母さん、勝手にアメリカに行くこと決めてごめん。寂しいって思ってくれるなんて、思わなかったから・・」 何の相談もしなかった。 全部一人で決めて、それでいいって思ってた。 母はぼくに微笑んだ。 「ねぇ託生、お母さんたちは託生のことをどうでもいいだなんて思ってないわよ。でも、そんな風に思わせてたのならごめんなさい。託生には幸せになって欲しいって思ってるのよ。いろいろ辛い思いさせたから、もう私たちのことで託生を困らせたくないし。託生がアメリカへ行けば幸せになれるっていうのなら、反対はできないでしょ」 「うん・・・」 「尚人のお墓参り、一緒に行ってくれるって言ってくれてありがとう」 「・・・・っ」 「ありがとね」 夏が終わり、ようやく朝晩が涼しくなった頃、ギイと久しぶりに顔を合わせた。 なかなか会えないのが遠距離恋愛だとはいうものの、今回は会えない時間がもどかしく思えてならなかった。 仕事が終わったばかりのギイと待ち合わせをして、ホテルのレストランで食事をしながら、両親とのことを報告した。 ギイは黙って話を聞いたあと、そうか、とどこかほっとしたようにうなづいた。 「もっとちゃんと話をすればよかったのかな。今じゃなくて、もっと昔に」 ぼくが言うと、ギイはワイングラスに口をつけて、少し考えたあとに言った。 「そうだな・・・。だけど、今だからこそ分かりあえる部分もあると思う。時間がたって、お互いに過去のことに囚われることなく向き合えたからこそ、また違う目でお互いのことを見ることができるようになったのかもしれない。あの時こうしてれば良かったんじゃないかって思うことはたくさんあるけれど、いろんなことは積み重ねだから、そういうのがなければ今はないし。これから託生とご両親の関係がどう変わるかは分からないけど・・・ご両親の気持ちがわかったのなら、今より悪くなることはない。それでいいんじゃないかな。焦ることはないよ」 「うん」 「人と人の距離ってさ、一律じゃないだろ。特に両親とか恋人とか、親しい人になればなるほど、距離感って難しいよ。他所の家族の距離感が自分たちにとってベストとは限らないし、傍から見て素っ気無いと思われる関係でも、当人にはそれがベストかもしれない。正解なんてないものだから、託生が辛いと思うことがなければ、それでいいんだと思う。寂しいって思うなら、ほんの少し歩み寄ってもいいかもしれない。無理することはないし、託生のペースでいいんじゃないかな」 ギイの言葉にぼくはほんの少し泣きたくなった。 少なくともギイは、どんなぼくでも受け入れてくれる。 間違っていたとしても、大丈夫だよと抱きとめてくれる。 もちろんギイがいつも正しいというわけではなくて、どれほどぼくのことを思っていてくれたとしても、ギイはぼくじゃないから、すべてを正しく理解できるとは思わない。 それでも、ギイの言葉はぼくを楽にしてくれる。 どんな言葉でも、ぼくのことを大切に思っての言葉だから安心できる。 「ありがとう、ギイ」 「うん?」 「ギイがぼくの恋人でよかったな」 「今頃かよっ!まぁ常に新鮮な気持ちでいるっていうのは大切だけどさ、もうちょっと何ていうかなぁ・・」 ぶつぶつ言いながら、ギイが溜息をつく。 子供っぽい膨れっ面に笑ってしまう。 大好きだよ、とぼくは口には出さずに告げてみる。 そして、ギイのことをずっと好きでよかったな、ともう何度も思ったことをまた思う。 暑かった夏が終わり、三ヵ月後、ぼくはアメリカへと渡る。 |