結局、その夜は三人で夜更かししてDVD鑑賞会となった。
からかわれたことへの意趣返しとばかりに、章三は適当なことを言って、託生の苦手なホラーものを見せ、さっきとはまた別の涙を流させた。 章三を一階に追いやって、託生といちゃいちゃしようと思っていたオレの思惑とはずいぶん違うものになったが、それはそれで楽しい夜となった。 「いろいろ考えたんだけどさ」 祠堂に帰ってから、思い出したように託生が口を開いた。 「二人してぼくが泣いたことを馬鹿にしたけど・・」 「馬鹿になんかしてないぞ、託生」 可愛いなと思っただけだ。 「ああいう可哀想そうな映画を見て、泣かない方がおかしいよ。二人ともちょっと感受性に欠けるんじゃないのかなぁ。無感動っていうの?」 「・・・無感動」 思わず唖然としてしまう。 まさか託生に言われようとは。 「ギイ?」 「なぁ託生、今度、もっとすごいラブロマンスを一緒に見よう」 「え?だってラブロマンスは嫌いなんだろ?」 「託生に無感動なんて言われちゃな」 「?」 どうせ苦手なラブロマンスならば、今度はハッピーエンドのやつにしよう。 らぶらぶで、心が温かくなるような。 非現実的上等。 オレと違って感受性の強い託生が、それで感動して、自分たちもあやかろうと思ってくれるようなヤツ。 章三は嫌がるだろうが、そんな映画を探してもらおう。 今度の休みは最強のラブロマンス映画と、章三が作る最強の手作りプリン。
まぁ、ほんとは二人きりでまったりDVD鑑賞っていうのがいいけどな。
よし、章三にはプリンだけ作ってもらうか。 言えば、章三は呆れるだろうが、しょうがない。 託生が喜ぶのなら、それでOK。 そうしてまた次の休みが楽しみになる。
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