みんなでゴルフ


ラウンド4

ギイの熱いリクエストに応えてくれた・・・かどうかは不明だが、奈美子ちゃんは何とも可愛らしいミニスカート姿で登場してくれた。
綺麗なオレンジのスカートに白いポロシャツ、膝上までの黒のハイソック。
きちんと髪を上げてバイザーをしていて、何とも爽やかな感じだ。
こうして改めて見てみると、奈美子ちゃんって可愛いんだよね。社会人になって、お化粧するようになると、女の子ってますます綺麗になるもんだなぁ。
章三は素敵な彼女がいて羨ましい限りだ。
まじまじと観察しているとギイに頭を叩かれた。
「痛いっ、何だよギイ」
「お前、見つめすぎ」
「だって可愛いんだもん。ギイだって見てるくせに」
「可愛いからな」
「何だよ、同じじゃないか」
ははは、とギイが白々しく笑う。
「あ、奈美子ちゃん、靴と手袋が章三とお揃いなんだ」
ギイが目敏く見つけ、可愛いねと言う。
見ると、なるほど靴は同じ色で、アクセントの色がちょっとだけ違う。手袋は色違いだ。
章三もペアルックとか絶対に嫌がりそうだけど、こういうちょっとしたお揃いは平気なのかー。ふーん。などと思いつつ章三を見ると、聞いてないふりをしてそっぽを向いている。
ということは、これは奈美子ちゃんに強請られてに違いない。
んー、でも章三と奈美子ちゃんがこういうペアルックしてるのって、何だか可愛いなぁ。
ほのぼのするっていうか。などと考えていると、
「そういう崎さんも葉山さんとお揃いね」
やっぱり女の子は鋭くて、奈美子ちゃんがにこにこと指摘した。
そう、ペアルック大好きなギイに負けて、今日はパンツが色違い。
ギイは赤系のチェックでぼくは青系のチェック。
色は違えど、見る人がいれば同じだって分かるから嫌だって言ったのに!!
「素敵ね。崎さんモデルみたいだから何着ても似合うわぁ」
「ありがとう。奈美子ちゃんも今度章三とウェアをお揃いにしてみたら?」
「ギイっ!!!」
ぼくと章三が同時に叫んだ。
「おかしなことを奈美に吹き込むな!」
「赤池くんと奈美子ちゃんはいいじゃないか。誰が見ても、ああ、恋人同士なんだなーって思われるだけなんだから。ぼくたちじゃそうはいかないんだよ」
ぼくが訴えると、またギイに頭を叩かれた。
「何だよ、オレと恋人同士だって知られちゃ何かまずいのか?」
「・・・・恥ずかしいだろ」
そうかしら?と奈美とギイが顔を見合わせて首を傾げる。
だめだ、この人たちは似たもの同志だ。
ぼくと章三は顔を見合わせてやれやれとため息をついた。
「ところで、初ラウンドのお祝いに、奈美子ちゃんにプレゼントがあるんだ」
ギイがポケットから小さな袋を取り出すと、はい、と奈美子ちゃんに手渡した。
「なぁに?」
嬉しそうに袋を開けると、中からキラキラのボールマーカーが出てきた。
「わー素敵。イニシャルが入ってる」
「で、これは章三、こっちは託生な」
ギイはほらよ、とぼくたちにも袋を渡す。当然中から出てきたマーカーにはそれぞれのイニシャルが入っている。
ちなみに章三は青、奈美子ちゃんはピンク、ぼくは赤でギイは黒。
「お揃いなのね。可愛い。ありがとう、崎さん」
「いえいえ」
ぼくと章三は手にしたマーカーを見て、お互い顔を見合わせる。
キラキラと光るマーカー。すごく綺麗で可愛いのだけれど、いったいこれはいくらするんだろう?
考えてはいけない、考えてはいけない。
「奈美、絶対無くすなよ」
「?」
章三の言葉に、奈美子ちゃんはきょとんを首を傾げた。


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ゴルフを知らないという人のための豆知識・・のようなもの

ゴルフウェアはカップルだと絶対にペアが可愛い!!!
奈美子ちゃんは嫌がる章三くんにお願いして、ペアにしたに違いない。可愛いなぁ。
でもあからさまにペアよりは、小物でペアっていうのがお洒落だと思います。
そんなギイと託生くんは色違いのチェックのパンツ。ハーフパンツとかだと素敵。
そしてギイがプレゼントしたボールマーカー。ボールマーカーというのは、グリーンにボールがオンすると、ボールを拾い
上げるために、ボールの後ろに置くコインみたいなヤツです。キャップやバイザーのツバにつけておきます。
プレイし始めたらボールには触らないんですが、グリーンだけはマークすると拾ってOKなのです。
今回ギイがプレゼントしたのは、きっとスワロとかで飾られた高いヤツで、分かってない奈美子ちゃんは素直に喜んでるけど、
章三と託生くんは内心「たかそー」と思ってるんですよね。