みんなでゴルフ


ラウンド5

スタート時間まで少しあったので、ちょっと練習でもしようかということになり、章三が奈美子ちゃんに付き合って、パター練習が始まった。
打ちっ放し場でパターって練習できないから、このラウンド前のちょっとした時間が貴重なのだが・・・。
「だから、打つ時に顔上げるなって」
「だって上がっちゃうんだもん」
「とりあえず下を向いとけよ」
「無理よ、ボールがどこ行くか気になるもん」
ほのぼのとした二人の会話が聞こえてくる。
ぼくとギイはグリーン周りに設置されたベンチに座って、のんびりとそれを眺めていた。
「初々しいなぁ。ああいう章三が見れるのって貴重だと思わないか?」
「思う。赤池くんて奈美子ちゃんには優しいんだね」
「当たり前だろ。彼女なんだし」
「だって想像できなかったんだよね、あの赤池くんがさー」
ぼくとのパター練習の時は、そりゃもう辛口トークなのにさ。
ぼくはしげしげと仲良く練習に励む二人を見つめた。
奈美子ちゃんが打ったボールが大きく外れると、章三が何やら言葉をかける。
ころんと上手くカップに入った時の、奈美子ちゃんが嬉しそうに章三見る目は何とも微笑ましいもので、ぼくはこういうのが普通のカップルなんだーと、まるでドラマでも見ているような気持ちになっていた。
「さて、託生も練習するか?」
「あ、そっか」
忘れてたよ。のんびりしてる場合じゃなかった。今日こそベスグロ更新しなくちゃ!
「今日は3パット1回につき、キス1回」
「・・・あのさ、それって罰になるのか微妙なんですけど」
だって別にギイとのキスは嫌じゃないし。罰ゲームにはならないよね?
「あのなー、誰が2人きりの時にキスするなんて言った?」
「は?」
「罰ゲームだからな、3パットしたら、その場でキスだ」
「はー???」
章三と奈美子ちゃんの前で?いくらぼくたちの仲を知ってる二人でも、さすがにそれはあり得ない。
だいたい章三に何されるか分かったもんじゃない。
「練習するっ!!!」
「はい、どうぞ」
ギイがボールを転がす。
ラウンド開始まで、ぼくは必死に練習をし、ギイはギイで、そこまで嫌がらなくても、とちょっと拗ねていた。



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ゴルフを知らないという人のための豆知識・・のようなもの

クラブハウスの前にパター練習場があって、みんなそこでスタート前に練習することが多いです。一応本当のグリーンと
同じ仕様になってるんで、まぁ一応練習します(笑)
託生くんが言ってる「ベスグロ更新」というのはベストグロスを更新したい、ということで、ゴルフにはハンデというのが
あるのですが、本当に打った数からハンデを引いたスコアをネット、ハンデを加味しないスコアがグロスです。
つまり本当に打った数のベストを、託生くんは更新したいーって言ってるわけです。
私の中の設定ではグロスで、ギイは平均90前後、赤池くんが90~95くらい、託生くんは95~100くらいで
回ってるかなーという感じです。ギイと赤池くんはもうちょっと上手でもいいかなー。
で、3パットしたらキス1回というギイですが、グリーンは2パットで上がれるとまぁ普通というか、そういう設定なので、
3パットしたら「あーあ」という感じなのです。なので、ギイは罰だぞーって言ってるわけです。3パットしちゃうものなので、
どうすんだろ、託生くん(笑)