ラウンド7 「さて、握るか」とギイ。 「また?」と託生。 「当たり前だろ」と章三。 しょうがないな、と託生は肩を落とした。 「じゃあエブリワンで」 「何言ってんだ、託生、スクラッチだ」 「やだよ。それじゃ絶対ギイが勝つじゃないか」 「ねぇ、握るってなに?」 こっそりと奈美子が託生に尋ねる。 「あー、えーっと、何ていうか、ちょっとしか賭けなんだけど」 「え、それっていいの?」 ゴルフ賭博、という言葉が奈美子の頭を過ぎる。 「奈美子ちゃん、別に大きなお金賭けるわけじゃなくて、500円とかその程度だから。あとは帰りのご飯代とかね」 ギイがぱちんとウィンクする。 「どうする?奈美も参加できるようにオリンピックもするか?」 「そうだな、それなら奈美子ちゃんも楽しめるかな」 「え、私も参加するの?」 というか、オリンピックがどんなものなのかも分からない。 聞くと、グリーンに全員のボールが乗ったあとに、一番遠い人からワンパットで入れば、金、銀、胴として得点がもらえるというものだ。ちなみにグリーン外からワンパットで入れればダイアモンドになるらしい。 「ふうん。面白そう」 「だろ?」 ということで、仲間内のゲームが始まった。男たちはスクラッチで、奈美子はオリンピックだけの参加である。実力だけじゃなく、運もモノをいうゲームなので、誰が勝つかはいつも分からないので楽しいのだが・・・ 「想定外」 ラウンドが終わると、男3人ががっくりと肩を落とすことになった。 スコアはさんざんな奈美子だったが、何故かパターだけは異様に上手で、ロングパットがじゃんじゃん決まって、一人勝ちとなったのだ。 「すごーい、私って天才かも!」 「まったく」 「まさか奈美に負けるとは」 「すごいなぁ奈美子ちゃん」 もちろん夕飯は奈美子の好きなものとなり、デザートまでしっかりとオーダーした。 ちなみに最下位はギイで、連勝記録が途絶えたと意気消沈していた。 |