ラウンド11 グリーン上で託生と奈美子ちゃんが仲良くラインを読んでいる姿をぼーっと見ていると、後ろから章三に頭を叩かれた。 「いって」 「何アホ面してるんだ」 「なぁ章三、託生と奈美子ちゃんがあんなに仲良くしてるの見て、ヤキモチ焼かないのか?」 「はぁ?」 章三は心底嫌そうに眉を顰め、すぐに呆れたように薄く笑った。 「ギイ、まさか奈美にまでヤキモチ焼いてるわけじゃないだろうな」 「そんなんじゃないけどなー。託生ってああ見えて女の子にモテるんだ、知ってたか?」 「知るかよ」 「まぁ託生はいいヤツだしな。オレが惚れるくらいだし?そう思うと、奈美子ちゃんは男を見る目があるよな」 「だから僕と付き合ってるんだろ?」 真顔で言われて一瞬毒気を抜かれた。章三も言うようになったものだ。 「女の子にモテモテの託生を選んだオレも見る目があるよな」 「何だ、その自画自賛。あのなギイ、女の子からモテモテの葉山が選んだのはお前だろ」 「そう。託生は人を見る目があるんだ」 「アホくさ。ま、相思相愛でめでたいことだな」 そっけなく言い捨てる章三に、 「章三ってヤキモチ焼くことあるのか?」 以前から一度聞いてみようと思っていたことを口にすると、章三はさてね、と首を傾げた。 「少なくとも、お前ら相手にはヤキモチなんて焼かないだろうな」 「だよなー」 章三が託生にヤキモチ焼く姿なんて想像できないし。 託生には時々ヤキモチ焼いて欲しいなぁなどと思ってしまうが、間違っても章三が相手ではあり得ないし。 「二人とも何ぼーっとしてるんだよ。ぼくたちもう終わったよ?」 託生と奈美子ちゃんがグリーン際で佇むオレたちを訝しげに見つめる。 二人が並んでる姿を見ると案外お似合いじゃないか、なんて・・・思わない思わない。 下手に奈美子ちゃんが可愛いから駄目なんだよなー。 ぶつぶつつぶやくオレに、章三がやれやれというように背後でため息をつくのが聞こえた。 |