ラウンド１２

奈美子ちゃんの初ラウンドは、何だかんだと言いながらも無事に終わった。
ちなみに今回のスコアは、章三が１位で、ぼくが２位、ギイが３位という、珍しい結果で終わった。
「ギイが最下位なんて珍しいよね」
「奈美にパター対決で負けたのがショックだったんだろ？」
「うるさいぞ、二人とも」
ラウンド後のお風呂にのんびりと浸かりながら、ぼくたちはとりとめもない話をしていた。
「帰り、飯食ってくだろ？」
「ああ、奈美がリクエストできるって喜んでたからなぁ」
初ラウンドだった奈美子ちゃんはパターがめちゃくちゃ上手で、オリンピックは一人勝ちだったのだ。
「奈美子ちゃん、なに食べたいんだろ」
「何かわけの分からないもの食わされそうだな・・・」
章三の言葉にぼくもギイも吹き出した。
「ギイは何食べたい？」
ぼくが聞くと、ギイはうーんと少し考えて、
「オレはそうだなぁ、こってりした豚骨ラーメン」
と言った。
「ああ、いいな、それ。葉山は？」
「んーと、久しぶりに牛丼食べたいな」
「それもいいな」
男３人はその手の「早くてがっつりとお腹に来るもの」がいいなぁと思うのだけれど。
「・・・まぁ間違ってもラーメンとか牛丼とかじゃないだろうな」
「ゴルフのあとで食べると美味しいんだけどねぇ」
でも女の子はそういうの食べたいとは言わないだろうな。
イタリアンとかフレンチとか？
別にいいけど！でもちょっと違うんだ！！と３人ともが思った。
「ギイが奈美に負けたりするからだぞ」
「そうだよ、いつも腹立つくらいパターの調子がいいのに、何だよ今日は」
「おいおい、何でオレのせいなんだよ。お前らだって奈美子ちゃんに勝てなかっただろ」
「いや、ギイのせいだ」
「そうだね、ギイのせいだ」
「託生が昼に自分の分をビールをオレに飲ませたりするからだろ！」
二人してギイを責めてると、何だとーっとめちゃくちゃにお湯をかけられた。
やり返したりやられたり、子供みたいに騒いでいると、あとから入ってきたおじさんに睨まれた。