ラウンド13 ギイと葉山を送り届けて、車内は奈美と二人きりになった。 「疲れただろ?」 聞くと、奈美は助手席でちょっとね、と笑った。 初ラウンドで、一日炎天下の下であっちこっちに飛び回ってボールを追いかけていたのだ。 疲れないわけがない。 「でも楽しかった」 「それは良かった」 「ね、今度はどこ行く?また連れてって欲しいな」 「そうだなぁ、その前にもうちょっと練習してからだな」 パターはともかく、スコアは人に見せられるものじゃない。 奈美子はそうよねぇとシートに深々と沈み込んだ。 「レッスンに行こうかな」 「はぁ?」 「だって章三くんに負けてばっかりじゃ悔しいし」 って、男に張り合うつもりかお前は、と言いそうになったが口を閉ざした。 そんなことを言えば男女差別だ、と言いかねない。 「うん、スクール探そうっと。で、章三くんより上手になって、オリンピックでは絶対に勝つの」 「・・・まぁ目標を高く持つのはいいことだよな」 「また練習付き合ってね」 「ああ」 そういえばゴルフを始めたばかりの頃、葉山も同じようなことをギイに言ってたな、と思い出した。 上手くなって絶対ギイには勝つんだとか何だとか。 それからしばらく、休みのたびに葉山の練習に付き合わされて、さすがのギイも参っていた。 (葉山と奈美は実は似たもの同志なのだろうか??) だとすると、これからしばらく休日のたびに練習に連れまわされるのか? (葉山と行け) などと思ってしまうのは彼氏として失格だろうか。 |