ラヴリーベイベー



ころんと寝返りを打つと、何やらふにゃりとしたものが頬に触れた。
隣で眠っているのはギイのはずだけど・・えっと、この柔らかさは 何だろう。
と思ってうっすらと目を開けると、そこには何だかとっても小さくて きらきらとした可愛いモノがあった。
「・・・・」
すやすやと眠っているのは小さなギイ・・・ではなくて!!!!
「なっ・・・」
思わず起き上がって、ぼくは自分の目を疑った。
ぼくとギイの間でちんまりと横たわる赤ちゃんだ。
「赤ちゃん・・・って何?」
人形ではない。
生きてる。だって動いてるし。息もしてる。
すごく可愛い。ギイにそっくり。そっくり?
「ギイっ!!!」
赤ちゃんの向こう側で眠っているギイに手を伸ばして、思い切り 揺さぶった。
「んー、何だよ」
「何だよじゃないよ!!ギイの赤ちゃんが」
「オレの何だって?」
「赤ちゃん!!!」
いったいいつのまにどこで子供なんて作ってきたんだ!
さすがのぼくだって、これは許せる話じゃない。
ギイはだるそうに起き上がると、パジャマの胸倉を掴まれてぶんぶんと 揺さぶるぼくの手を掴んだ。
「落ち着け、託生」
「これが落ち着いていられるわけないだろっ」
その時、ぼくたちの騒ぎに眠っていた赤ちゃんが大声で泣き出した。
ぼくとギイは瞬時に固まって、ベッドでんぎゃんぎゃと泣いている赤ちゃんを 見下ろした。
「託生」
「・・・・」
「オレたちの子供か?」
よっしゃ!とギイは満面の笑みを浮かべて泣きじゃくる赤ちゃんを抱き上げた。


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あとがき

突然赤ちゃん!いらっしゃーい。