ラウンド1 奈美子ちゃんがゴルフを始めた。 章三と一緒に何度か打ちっぱなしに行き、練習を重ね、そろそろラウンドデビューをしようかな、というところまで来たらしい。 「よし、じゃオレが予約取ってやるよ」 そんな話を章三から聞いたギイがやけに楽しそうに宣言した。 ギイは仕事上の付き合いでけっこう若い時からゴルフをしていた。 ぼくはギイに誘われるまま、球技ならいいかと思ってゴルフを始め(これは間違いだったけど)、同じ頃、章三も練習を始めた。 最近ではよく3人(たまに誰かが加わり4人)でラウンドしているのだけれど・・・ 「よーし、奈美子ちゃんでも楽に回れそうで、飯が美味くて、ロケーションのいいところ探すぞ」 「ギイ・・・何でそんなに楽しそうなのさ?」 「そりゃお前、いつも接待ゴルフでむさ苦しいおじさんばかりで回ってるんだぞ。可愛い女の子と回る方が100倍楽しいに決まってるじゃないか!」 「ふうん」 「ミニスカート必須だな」 「ギイのすけべ」 「章三には内緒な」 ぱちんとギイがウィンクする。 そりゃまぁむさ苦しいおじさんたちと回るより、可愛い女の子と回る方が楽しいか。 もしかして奈美子ちゃんめちゃくちゃ上手かったらどうしよう。うきうきとコース選択を始めたギイを横目に、ぼくは練習しなくちゃなーとこっそりと思った。 |